クモ蟲画像掲示板

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ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - 佐渡國蟲士

2019/12/01 (Sun) 14:08:08

よろしければ教えてください。
佐渡ヶ島の中央部の平野の田んぼで見つけたコモリグモなのですが。
新種として記載されたヘリジロコモリグモですか?
結構田んぼのそこかしこに普通に歩いているのが見えました。新種なのに、そんなに簡単に見つけられるものなのかと疑問に思いました。それとも、ヘリジロではなく、別の普通種なのでしょうか。
ネット上に掲載されている画像と比べるとよく似ているような気がしますが、情報量が少ないので、なんともいえません。
5月22日に撮影したものです。
よろしくお願いします。

ヘリジロコモリグモなのでしょうか(2) - 佐渡國蟲士

2019/12/01 (Sun) 14:09:11

写真の2枚目です。同じ個体です。

ヘリジロコモリグモなのでしょうか(3) - 佐渡國蟲士

2019/12/01 (Sun) 14:10:32

写真の3枚目です。これまた同じ個体です。

ヘリジロコモリグモなのでしょうか(4) - 佐渡國蟲士

2019/12/01 (Sun) 14:12:05

写真の4枚目です。
これは別の個体です。
5月24日に撮ったものです。

ヘリジロコモリグモなのでしょうか(5) - 佐渡國蟲士

2019/12/01 (Sun) 18:24:21

見やすいものがもう1枚ありました。
これは6月8日に撮影したものです。

Re: ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - きどばん

2019/12/01 (Sun) 23:19:04

> 結構田んぼのそこかしこに普通に歩いているのが見えました。新種なのに、そんなに簡単に見つけられるものなのかと疑問に思いました。それとも、ヘリジロではなく、別の普通種なのでしょうか。

ヘリジロコモリグモで合っていると思います。本種を新種記載した谷川明男博士を中心としたチームが 2012年9月から2014年6月に佐渡島のクモ調査※を行っています。その採集リストには他では記録のないヘリジロコモリグモが載っていますが、島嶼を除いて47都道府県すべてで記録があり「田んぼのそこかしこに普通に歩いている」はずのキクヅキコモリグモが載っていません。調査チームのメンバーは皆日本を代表するようなクモ研究者で、採集の時期・地点・頻度等を考えると「生息しているけど見逃した」ということはまず考えられません。佐渡島にはキクヅキコモリグモが生息していないのではないかと思います。代わりに同属でほぼ同サイズ、同様の習性を持つヘリジロコモリグモが「田んぼのそこかしこに普通に歩いている」普通種として生息しているのでしょう。なぜそのような分布になったのかは地理的要因等色々あると思いますが、出せる答えは「妄想」でしかありません。
※谷川明男・宮下 直 2017. 佐渡島のクモ類採集記録. Kishidaia, 111:55-73.

> ネット上に掲載されている画像と比べるとよく似ているような気がしますが、情報量が少ないので、なんともいえません。

キクヅキコモリグモは斑紋パターンそのものは安定していますが色合い濃淡の変異が多く見られます。ヘリジロコモリグモもそんな感じなのでしょうね。ネット上の他の写真を参考にするより、佐渡國蟲士さんが撮られたものを参考写真としてどこかにアップしておいてもらいたいです(笑)

ありがとうございました - 佐渡國蟲士

2019/12/02 (Mon) 22:02:10

ていねいな解説ありがとうございます。
ヘリジロとキクヅキとの関係も興味深く読ませていただきました。
サドガエルやサドモグラのように、このクモがどういう道を辿って現在に至るのか考えると面白いですね。
それにしても、島にごく普通にいるクモが実は新種だったというのは本当に驚きです。

Re: ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - くも子

2019/12/11 (Wed) 14:52:12

>ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - 佐渡國蟲士

ヘリジロコモリグモの素晴らしい生態写真を公開くださり、ありがとうございます。”佐渡國蟲士”さんというH.N.から佐渡ヶ島にお住まいと拝察? うらやましい限りです。

古きを尋ね新しきを知る…温故知新を味わうこともまたクモ探しの醍醐味のひとつ?

話題になっております佐渡産キクヅキコモリグモにつきCD「日本のクモ」Ver.2018を参照しますと、佐渡島産蜘蛛目録(小松敏宏 A.Arachnologica,3(3):99-101[1937])におけるキクヅキコモリグモを含む46種の蜘蛛の報告があることを知りました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/asjaa1936/2/3/2_3_99/_pdf/-char/ja

この目録を参照しますと、30.キクヅキコモリグモおよび29.ウヅキコモリグモは1937年当時Lycosidae(コモリグモ科)Lycosa(コモリグモ属)のクモだったことが分かります。また、論文の要旨部分に「この目録を編むに當り、標本を一通り見ていただき御教示を得た岸田先生に謹んで御禮申し上げます。」と述べておられます。
つまりこの論文は学会誌に投稿・受理され出版されたもので、内容は現在も生きています。

1937年の小松論文から80年の年月を経た2017年の谷川・宮下採集記録までの間に、佐渡のキクヅキコモリグモが何らかの理由で絶滅したことが推測され、興味が尽きません。

「日本産クモ類2009」では現在はキクヅキコモリグモもウヅキコモリグモも Pardosinae(オオアシコモリグモ亜科)Pardosa(オオアシコモリグモ属)に所属。

この属は、新潟大学Center for Toki and Ecological Restorationのグループが島の水田で捕獲、東京大学谷川博士および宮下直先生により2014年8月31日に新種記載されたヘリジロコモリグモを加え、日本産は26種が知られている…ということのようですね。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/asjaa/63/1/63_23/_pdf/-char/ja



私の場合一度だけクモを探す目的で、佐渡を訪れたことがあります。きどばんさんが創り管理運営しておられるここの「クモ蟲画像掲示板」に投稿したときの概要の所在を、重ねてここに紹介させていただきます。

当時不明種だったヘリジロコモリグモを2011年9月27日、金北山(1,172m)登山口付近の砂地でウヅキコモリグモなどと共に捕まえ、12枚ほど撮りました。
http://kumomushi2.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5834680

Re: ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - きどばん

2019/12/15 (Sun) 18:17:13

> 1937年の小松論文から80年の年月を経た2017年の谷川・宮下採集記録までの間に、佐渡のキクヅキコモリグモが何らかの理由で絶滅したことが推測され、興味が尽きません。

すみません、冒頭だけちらりと見ているだけだったので、くも子さんのご投稿を見逃していましたm(__)m
大きな声では言えませんが、私には当時の記録の信憑性についてはどうも・・・同定能力の問題ではなく同定に用いられた資料そのものが不明瞭であることも多く・・・同定に誤りがなかったとすれば衝撃的事実ですね。

佐渡の生きものロマン - 佐渡國蟲士

2019/12/15 (Sun) 21:46:44

多方面からの詳しい考察ありがとうございます。
とても勉強になりました。

佐渡島は南北両方の海流の影響を受けていたり、標高差が大きいため、日本列島の縮図と呼ばれるくらい、気象や地形が複雑多様です。いろいろな農産物がとれ、みかんやお茶があるかと思えば、米やりんごも採れます。水田を初めとする里山の環境が豊かですし、歴史的にあまり植林に熱心でなかったようで、天然林が比較的残っています。日本中を探しても、あまりこういう条件はないのでないかと思います。トキが最後まで生き残っていたことも納得できます。
佐渡の北部と南部と中央の平野部で見られる生きものが、かなり違う感じがします。地史的な影響を受けているものかと思います。
もっと広域で詳細な研究をすれば、きっとこれからも新種が見つかってくるのではないかと思います。
もし、キクヅキコモリグモがかつて本当に佐渡にいたとすれば、今も島のどこかで生き残っているのかもしれませんね。ちょうど、ツチガエルとサドガエルの関係のように。
逆に、ヘリジロコモリグモが島の外のごく限られた場所で細々と生き残っている可能性もあるのでしょうか。サドモグラとエチゴモグラの関係のように。
地史学的な視点をからめて、ひとつずつ検証していけば、いつかきっとどなたかが、このミステリーを解いてくれるのだと思いますが…。
いろいろと考えるだけでロマンがあって面白いです。

Re: ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - きどばん

2019/12/16 (Mon) 02:56:05

> 逆に、ヘリジロコモリグモが島の外のごく限られた場所で細々と生き残っている可能性もあるのでしょうか。

半島の隣国に生息している可能性がゼロではなさそう・・・資料不十分で追究できませんが。

Re: ヘリジロコモリグモなのでしょうか(1) - くも子

2019/12/16 (Mon) 06:08:25

きどばん さん

>同定に用いられた資料そのものが不明瞭であることも多く・・・同定に誤りがなかったとすれば衝撃的事実ですね。
>隣国に生息している可能性がゼロではなさそう・・・資料不十分で追究できませんが。

現在行われているような専門の研究者によって内容を審査する「査読(さどく)」が厳格でなかった…かも?
この10月、佐渡の少し北に位置する粟島(あわしま)に小旅行。目的は島で働く高校の同級生を訪ねること。ついでに少しクモも探しました。佐渡と違い水田がなく、ヘリジロコモリグモも見つかりませんでした。波打ち際の汐の効いた砂地からウヅキコモリグモがわんさか…私としては新知見でした。
気鋭の優秀な若手、筑波の院生S.ユウヤさんや高知の学部生S.リョウヘイさんにぜひ佐渡を訪ねてもらいたいです。



佐渡國蟲士 さん

>佐渡島は南北両方の海流の影響を受けていたり、標高差が大きいため、日本列島の縮図と呼ばれるくらい、気象や地形が複雑多様です。

とにかく魅力がいっぱいですね、自然も文化も歴史も。
世阿弥が流された「能」の島、毎年公演が続けられている能舞台が8か所?もあるという、すごいです。三浦按針が遣わされ金の産出が幕府により厳格支配…
時が移って金の産出が減少、私が生まれ育った秋田の鉱山町の小学校に、何十人もの転校生がまとまってやって来たのが昭和25年ごろでした。話し言葉の末尾に「~のぉ」というのが奇異に聞こえたものです。街の盆踊りの演目に佐渡おけさが加わりました。今も東京で毎年同窓会、佐渡生まれの何人かとは現在もつながっています。

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